来 歴


異端


空が青いのは
地上の湖を吸い上げているからだと
太陽は昼間は天で働いて
夜になると
地面の下に眠るのだと
子供の頃の日常の
そこにもここにも蒔かれていた嘘
嘘は行方知れず
地上と地下とは
遠の昔に
別のドラマに仕立てられている
だから
あれも駄目
これも間違いという
利発な声を押しのけて
土の中でも開こうとする花

あれも見えない
これも聞えない
それと同時に
大地を放たれてあまりに育ち過ぎた世の中

ああ
それこそ私なのですと
言いはるつもりはない
だが
私の身の丈をなぞって
私の声と等質の耳を傾けて
ことばもなく咲き続ける
地中の百合のほの白い貌が
私のありかを
すっかり言いあててしまっている
今は

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